「アガンベン≪ホモ・サケル≫の思想」(上村忠男「講談社選書メチエ」)は、アガンベンの「ホモ・サケル」プロジェクト全9冊の紹介・解説をしていて、全体を知るにはよいのだが、難しすぎる。独特の用語や概念が頻発するのは新しいことをやるうえで仕方がないのだろうが、丁寧に説明してくれないとなんのことかさっぱりです。
アガンベンはフーコーの流れにあるスケールの大きな思想家だとは感じるのですが、古代ギリシャから中世神学、カフカまで、膨大な知識をバックにしているので、ついていけません。何をどうしたいのか、今一つピンときません。
アウシュビッツにおける「証言の不可能性」の考察はアーレントの提起を正面から受け止めた啓発的な内容で、重く響いたが、あとはちょっとパスして、もう少し身近な問題に目を向けようと思います。